Google Sites は SharePoint の対抗馬になるのか?

このエントリは─とても珍しいことに─私が SharePoint を褒める内容になっています(笑)

Google は Google Sites を SharePoint の競合と位置づけているという記事を見て、「ええ?そうなの?」と少々驚きました。というのも、私の中には、SharePoint VS GoogleSites という構図は無かったからです。実のところ、意外ですらありました。

ウチの会社でも、GoogleApps には少なからぬ関心があり、その検証もしてます。検証の中心は Gmaila ですが、私としては、Google Sites にも少なからぬ関心がありました。近い将来、このサイトが GoogleSites Maniacsに変更を余儀なくされるのではなかろうかと(笑)

まあ、私は Microsoft の人間ではなく、あくまでいちユーザです。その場合でも全く困らない訳ですが(心情的な寂しさは別として)、その意味で公平に製品(サービス)を評価できる立場に居ます。

以下は、私が検証の際に記録しておいたGoogleSitesに関する私見(メモ)です。

  • ベースになっているシステムが WIKI なので、「ページを作成する→編集する」という行為が基本。「リッチな WIKI 系 HPデザインツール」と考えると判りやすい。

  • WIKI なので、「公開」が前提。個々のコンテンツでアクセス権を設定できるような機能が・・・見当たらない。けっこう問題。

  • 「サイト」単位でならアクセス権限をつけられる。その他の操作→サイトを管理→サイトの設定/共有設定(ただしそのサイトとの「オーナー」である必要がある)しかし、権限が「オーナー」「共同編集者」「閲覧者」の三段階でしか選べないのは不便。また、「組織」というACL範囲が見当たらない。全て個人。

  • WIKI なので、全てにおいてページの変更履歴が残る。便利なような、意味が無いような。微妙なところ。

  • 全画面に、「印刷用表示」が用意されている。これは MOSS に無い機能で便利。

  • 「動画」は ie6 だとデザインが崩れる。ie8 なら正常に表示される。

  • 編集中のページは、時々(頻度は多い)自動的に下書き保存される。これは MOSS に無い機能で便利。

  • 利用できる書式はほぼ MOSS の拡張リッチテキスト列と同じ。完全に WYSWYG な点は、GoogleSites が優れている。

  • クリップボードからの画像貼り付けには、やはり対応していない。いや、そもそも画像貼り込み対応していないようだ。また、時折、改行が無視されることがあった。Google も完璧という訳ではないようだ。

  • 文章が長くなると、だんだんエディタの動作が遅くなる(この文書で既に重い)。マシンスペックの問題?ie8 の問題?いずれにせよ結構ストレス。結局、テキストエディタで編集してから貼り付けている。

  • 特定のテンプレートでないと「添付」が使えなのは不便。※これは間違い。その他の操作→ページの設定 で許可できた。

  • その他の操作→サイトの管理→最近の更新履歴 で、時系列に全ての変更履歴を閲覧できる。管理者としては非常に心強い機能。

  • 特定のページテンプレートには「コメント」が残せる。ブログ的発想。しかし業務ユースだとあまり意味が無い気がする。※その他の操作→ページの設定 で全てのコンテンツにコメントが許可できた。

  • RSS配信機能がない

  • 「サイトマップ」は全コンテンツをツリー表示。「すべて展開」「すべて折りたたむ」があって使いやすい。ただし、「自サイト」内のコンテンツしか表示してくれない。

  • 「検索」機能は悪くない( Google なのだから当然か)。しかし、「複数サイトを跨いだ検索」や「特定のコンテンツ内での検索」ができないのがかなり苦しい。

  • 複数の「サイト」を作れるが、そのサイト間に関連性を持たせることが出来ない。階層構造を定義できない。

  • ページを作成→スタートページは、いわゆる個人用ページのようなものか?自由に Google のガジェットを配置できる。個人ユースなら面白いのだろうが、業務ユースだとあまり意味が無い。

  • ページをを作成→ダッシュボードは、スタートページの共有版。自由にガジェットを張り込める。MOSS における「サイト」と一番イメージが近い。しかしレイアウト固定なので使いづらい。

  • ページを作成→リストは、MOSS でいうところのカスタムリスト…の相当な劣化版。ビューがない。リッチテキストが使えない。エクセル出力ができない。正直、使えない。

  • ページを作成→お知らせは、MOSS でいうところのお知らせリスト…劣化版。WYSWYG なのは評価できるが、一覧ビューがないので「流し読み」しかできない。またテンプレートが固定で列を追加したり出来ないので、カテゴライズができない。

  • ページを作成→ファイルキャビネットは、MOSS でいうところのドキュメントライブラリ・・・の劣化版。GoogleDoc の方が圧倒的に使いやすい。何故 GoogleDoc の I/F を採用していないのかが謎。

もちろん良いところもある訳ですが、総合的に見て、MOSS2007/WSS3.0 より、むしろ SPS2003 で単一サイトを運用しているイメージに近いです。数人のグループやプロジェクト単位で利用するのなら便利かもしれませんが、企業ユースには、まだまだ発展途上ですね。SharePoint と比較すると一世代(もうすぐ二世代になりますが)は遅れています。

個人的にはこれが「Google 謹製」であることが、ちょっと信じられないです。なんとなく、Google ならもっと洗練された製品を用意しそうなものですが…。まあ Google 様も万能ではない、ということでしょうか(苦笑)
もし「そんなことはない!Google Sites はこんな点が素晴らしいんだ!君はここを見逃している!」的なサジェストがありましたら、是非コメントで教えていただけると嬉しいです。


これまでのコメント

  1. かろ より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 6.0; ja; rv:1.9.1.3) Gecko/20090824 Firefox/3.5.3 GTB5 (.NET CLR 3.5.30729)
    >「組織」というACL範囲が見当たらない。全て個人。
    共有時にグループのメールアドレスを入れるとグループ単位での共有が出来ます。:-)

  2. saruhiko より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; InfoPath.2; .NET CLR 3.0.04506.30; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    あ、成程〜。
    組織単位でグループアドレスを用意しておけば、
    共有範囲を限定できるんですね!
    ありがとうございます。

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中村 和彦(シンプレッソ・コンサルティング株式会社 代表)が「ユーザ視点の SharePoint 情報」を発信します。元大手製造業 SharePoint 運用担当。現SharePoint コンサルタント。お仕事のお問い合わせはこちらまでお願いします。当ブログにおける発信内容は個人に帰属し所属組織の公式発信/見解ではありません。
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