Oslo(オスロ)はつまり検索の大強化。ただし当面 Office 365 限定。

先週、米国ラスベガスで開催された SharePoint カンファレンスで発表された「Oslo」について、現時点で公開されている情報のまとめと、私なりのかなり主観的な解説です。

ラスベガスで開催された SharePoint カンファレンス 2014 に参加してきました。全体としては Colud First という言葉に表されているように、Microsoft の Office 365 への注力がとても鮮明だった印象でしょうか。あまりに鮮明なのでオンプレミス系参加者から不満の声が聞こえたくらいです。

それはさておき。今回の SharePoint カンファレンスで発表された新機能「Oslo(オスロ)」について、現時点で分っていることをまとめておきたいと思います。

Office Blog: Introducing codename Oslo and the Office Graph

大きくまとめると、Oslo の実態は 企業内ソーシャルグラフとユーザーアクションに基づきパーソナライズされたプロアクティブな検索結果 です。…なんのことか分らないですね。

まず、基軸になるのは FAST を統合した SharePoint の検索機能(この点は明言されていないので曖昧)です。これが SharePoint だけでなく、Exchange や Yammer のコンテンツも収集/分析し、そこに各ユーザーの閲覧をはじめとする行動履歴(シグナル)も加味してエンラープライズソーシャルグラフを構築します。

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これを「Office Graph(オフィス グラフ)」と呼びます。これにより、従来の SharePoint 単体では難しかった、パーソナライズされた検索結果を提供することが出来るようになります。

しかし、検索の本質的な弱点は「適切なキーワードを入力しないと答えが返ってこない」ことにあります。つまり、まずユーザーの(適切な)アクションありき、なんですね。これは案外ハードルが高い。

そこで、用意されたのが「Oslo」アプリケーションです。これは上記 Office Graph に基づき、ユーザーが「今見るべき」とシステムが判断した情報を、とても見やすく表示してくれます。Win8 アプリケーションに加え、Office 365 のスイートメニューからアクセスできるブラウザ版が提供されるようです。

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「Oslo」アプリについて特筆すべきは、アプリ内でも更にキーワード検索や、フィルタリングができることです。「自分が見たもの」「自分が LIKE したもの」 「自分宛に公開されているもの」など、ユーザーの「シグナル」に基づいた、実用的なフィルタが用意されています。

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これにより、エンドユーザーによりプロアクティブで、迅速で、「痒い所に手がとどく」情報アクセスを提供するのが「Oslo」です。リリースは今年中(2nd half of 2014)の見込みとのこと。

ただ、重要なポイントとして、これはあくまで Office 365 に実装される仕組みです。オンプレミスではありません。この点についてはカンファレンスの会場でも質問してみたのですが、「オンプレミスへの実装は検討中。もっと詳細な情報は将来的に提供する」とのことでした。

また、「Oslo」はあくまでコードネームなので(ノルウェイのオスローにある Fast チームが開発を担当している)、この後、別の製品名がつくかもしれません。

さてこの「Oslo」。どうでしょうか。まあ、なんと言いますか、どこかで見た/聞いたことあるな、と思われたんじゃないでしょうか(苦笑)。全体的な仕組みとしてはほぼ Facebook のニュースフィード互換ですね。UI としては、Pinterest(あるいは Flipbord)ほぼそのままなので、当初「買収!?」と誤解しました。

その為、あまり「革新的」という印象は個人的にないのですが…。とはいえ、メールから予定/タスク管理、グループウェア、IM、オフィスクライアント、OS、そしてクラウドソーシャルサービスまで、全方位的に提供する Microsoft の強みが、いよいよ本格的に活かされる、という意味においては、画期的で素晴らしい試みだと思います。

私自身、以前から SharePoint に必要なのは検索結果のパーソナライズ(あるいは「部署ナライズ」)だと考えていましたので、それが実現されることは、とても嬉しいです。

ただ、こうなると心配になるのは、やはり分析/抽出の精度ですね。同じような仕組みをかなり成熟させた Facebook ですら、時に友人の情報が抜け落ちていることに苛立ちます。ましてや Oslo はよりクリティカルな業務情報を扱うという点で、ハードルは低くありません。

また、Oslo の Office Graph 解析は、あくまで Microsoft ソリューションを Microsoft が想定する通りに活用した場合にこそ最大限発揮されるだろう、ということも留意点かと思います。つまり、メールや予定管理、会議招集は Exchange、情報ストアに SharePoint と OneDrive。これは単に製品を採用するというだけでなく、その使い方も含めて、ですね。

ただ現実問題として、日本企業、ことさらオンプレミスではあまりそうなっていません(汗)。メールは Exchange でも予定管理は別システム、とか。OneDrive(SkyDrive)は使わない、とか。SharePoint は部署ベースでサイトを構成して、管理権限はすべてITが握っている、とか。となると、仮に Olso がオンプレミスで利用可能になったとしても、その解析精度は低下せざるを得ない。それも含めて Office 365 限定のリリースなのではないか、と思います。

まあ、個人的には、それでも「Viewed by me(自分がみた情報) 」がわかるだけでも業務上大きな価値がある気がしているのですが。正直、Facebook にもこのフィルタ機能が欲しいです。

なお、この Olso の発表をもって、SharePont 2013 の「ニュースフィード」は完全にトドメをさされた観があります(苦笑)Office ブログでも「次バージョンの SharePont でも機能は維持される、ただし新機能の追加などは行わない。今後の投資はすべて Yammer に向けられる」と明記されました。

Office blog: Work like a network! Enterprise social and the future of work
Go Yammer! While we’re committed to another on-premises release of SharePoint Server—and we’ll maintain its social capabilities—we don’t plan on adding new social features. Our investments in social will be focused on Yammer and Office 365, so that we can innovate quickly and take advantage of the viral user adoption that is so important to the natural network effect that makes social so powerful. We recognize that many of our SharePoint customers will continue to have large on-premises deployments for many years, but we’re investing to help customers easily manage hybrid environments so that they can connect their on-premises farms to their in-the-cloud social network.

超勝手意訳:これからは Yammer です!次バージョンの SharePoint Server でもソーシャル機能は維持しますが、新機能の追加はありません。我々はあくまで Yammer と O365 に注力することで、ソーシャルの可能性を十全に発揮することができる新機能を、迅速に提供してゆきます。少なからぬ SharePoint ユーザーが今後もオンプレミス環境を利用する(利用する必要がある)ことは理解していますので、クラウドとオンプレミスのハイブリッド環境を容易に構築し、オンプレミスでもクラウドのソーシャル機能を活かすことができるようにしていきます。

その他、Oslo と Office Graph に関する参考情報はこちら:
TechCrunch: Microsoft Adds An Intelligent Social Layer With Groups Feature To Office 365
PR Newswire: Microsoft Office showcases future of work
engadget: Microsoft’s new Office Graph will help you discover what’s trending around your workplace
Office blog: Technology is enabling new ways of working
IT Pro: Microsoft、Office 365の強化計画を発表、新構造「Office Graph」を導入
CNET Japan: MS、「Office 365」にソーシャルや機械学習の技術を導入へ


Author

中村 和彦(シンプレッソ・コンサルティング株式会社 代表)が「ユーザ視点の SharePoint 情報」を発信します。元大手製造業 SharePoint 運用担当。現SharePoint コンサルタント。お仕事のお問い合わせはこちらまでお願いします。当ブログにおける発信内容は個人に帰属し所属組織の公式発信/見解ではありません。
Twitter : @saruhiko
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