初心者向け SharePoint を理解するための 10 のポイント 1/2

ここ半年ほど、このブログのアクセス一位はずっと「SharePoint を理解する為の7つのポイント」なのですが、これ 2009年のエントリなんですね。流石にもう内容が古い。そこで、最新の SharePoint 2013 を念頭に書き直してみます。ただ、SharePoint の基本設計は当時(SharePoint 2007)から大きく変化していませんので、所謂マイナーアップデートになります。出来るだけシンプルにしますが、それでも長くなりそうなので2回に分けます。

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何からはじめる?

SharePoint はなにかと難しいという印象をもたれがちです。まあ、実際ややこしいです(苦笑)中小企業から大規模エンタープライズまで、あらゆる業務ニーズを受けて進化しつづけた結果、機能レベルでは専門家でもすべてを把握しきれません。

また、SharePoint は Microsoft 技術の固まりです。私自身は「寄木細工」という表現をよく用いるのですが、Windows サーバ、IIS、SQLデータベース、Active Directory、.Net 等々。最近はそこに Azure も加わりました。あまりにも技術領域が広く、ひとりのエンジニアがすべてをカバーするのはまず無理です。

とはいえ、何事にも「入口」は必要です。SharePoint を理解するには、まずその最も基本的な用語(=概念)を把握した上で、各種書籍(多くはありませんが)をあたって頂くのが良いかと思います。

ここでは、最初に押えるべきポイント/用語として、次の10項目を紹介します。なお、おそらく数字の順に上から読んで頂くのが一番判り易いです。

1.「サイトコレクション」
2.「サイト(サブサイト)」
3.「アプリ」
4.「ライブラリ」
5.「リスト」
6.「組み込みアプリ」
7.「フォームライブラリ(Infopath)」
8.「Webパーツ」
9.「アクセス権の継承」
10.「独自開発とアドオン製品」

1.サイトコレクション

SharePoint は乱暴に言えば「Web系コンテンツの器」です。その器を「サイトコレクション」と呼びます。インターネットでいえば「ドメイン」に相当すると考えてください。例えば、Microsoft のサイトは多くのコンテンツを包括したひとつのサイトコレクションです。

なお、このサイトコレクションをまとめたさらに大きな単位が「Webアプリケーション」、そのさらに上(最上位)が「ファーム」なのですが、ここでは割愛します。また、サイトコレクションについては Microsoft でも用語統一が不十分なきらいがあり、テキストによっては「サイト」と表記されることもあります(余計に解りにくく…)。

2.サイト/サブサイト

サイトコレクション内に存在する、各コンテンツの器を「サイト」と呼びます。ユーザーが SharePoint にアクセスして実際に「見る」のはこのサイトです。「サイトコレクション」には、必ず起点となるサイトがあり、その配下に複数のサイトを階層状に配置していくことができます。この最上位サイトは、特別に「ルート」「トップレベル」と呼ばれ、インターネットにおける「ホームページ」に相当します。

Microsoft で言えば、
http://www.microsoft.com/ はサイトコレクションのトップレベル
http://www.microsoft.com/downloads/ はその配下のサイト
http://www.microsoft.com/security/ はその配下のサイト
です。

なお、実際のWebサイトでは、サブドメインが切られていたり、多言語対応のため複数のトップページが存在するのですが、ここでは割愛します。イメージで捉えてください(苦笑)

サイトは階層構造で管理され、ひとつのサイト配下に複数のサイトを作成することが出来ます。つまり、サイトには上下関係が存在し、下位のサイトを、上位サイトに対する「サブサイト」と呼びます。

例えば、次のような場合、サイト B はサイトA に対して「サブサイト」であり、サイト F は サイト C の「サブサイト」です。ただ、「サブサイト」はサイト間の関係性を表す用語なので、サイトとサブサイトに機能的な差はありません。どちらも「サイト」です。
----------
[サイトコレクション]
 サイトA(ルート)
 ┣ サイトB
 ┗ サイトC
    ┣ サイトF
    ┗ サイトG
----------
ちなみに、この「サイト」も、時折「Web」と表記されることがあり、エンジニアを悶絶させることがあったりなかったり(統一してください…)。

3.アプリ

SharePoint はサイト内に多くのコンテンツ(の器)を配置することができます。掲示板やファイル管理、アンケート、集計表、等々。これらはある意味、サイトの「機能」であり「アプリ」と呼ばれます。システム管理者から権限を与えらえたサイト管理者が、サイトに自由にアプリを追加して情報をストア、共有する、というのが SharePoint の基本シナリオです。

アプリには大きく分けて「リスト」「ライブラリ」「組み込み」の三種類があります。それぞれの特徴については、以下で個別に説明します。

なお、「アプリ」は SharePoint 2013 から登場した新しい概念です。それまでは「サイト内のコンテンツにはリスト、ライブラリ、その他の三種類があります」と説明されていました。それらを包括する概念として「アプリ」が登場したのは、Office 365(SharePoint Online) のようなクラウドサービスと、そこに「購入→ダウンロード」形式で機能を追加できる Office/SharePoint App Store の仕組みを構築するためではないか、と思います。

4.ライブラリ

「ライブラリ」はアプリの一種で、いわゆる(仮想)ファイルサーバ領域を SharePoint サイト内に作成するものです。基本動作は、インターネット上のファイルアップローダと同じで、フォルダを作成し、その中に各種ファイルをアップロードします。「ドキュメントライブラリ」アプリが最も基本的なライブラリで、それ以外に画像管理に特化した「画像ライブラリ」、動画をストリーミング配信できる「メディアライブラリ」などがあります。

GUI が Webベースのため、実ドライブに比べると使いづらい側面もありますが、ファイルをURLで表記できるのは大きなメリットです。また、SharePoint では[Windows エクスプローラで開く]機能により Web/Dav 通信で通常のネットワークドライブと同じ操作ができ、エンドユーザーに好評です。また実際にネットワークドライブとして割当てることも可能です。加えて、SharePoint 2013 からは、ブラウザ上でドラッグ&ドロップでのアップロードやファイル/フォルダ移動にも対応し、使い勝手が向上しました。

その他、SharePointの利点として、次のような機能があります。

1.ブラウザによる閲覧や編集(Office web Apps)
2.バージョン管理
3.ユーザによるフォルダ/ファイル単位でのアクセス権メンテナンス
4.チェックイン/チェックアウト
5.フォルダを無視してファイルを一覧表示
6.ファイルに独自プロパティ項目を設定。それに応じた分類/グルーピング
7.メール経由でのファイル登録
8.Outlook によるレプリケーション(Outlook 2007 以降)
9.一定期間更新の無いファイルを自動削除(情報管理ポリシー)
10.SkyDrive Pro によるローカル同期

一方、SahrePoint の欠点は、次のような点です。

1.ライブラリ単位での総容量が判らない
2.ライブラリ単位で上限容量(クォータ)を指定できない
3.登録時にアクセス権を指定できない
4.ファイル名自動生成機能がない
5.SkyDrive Pro を使用するとネットワーク帯域が心配

(1) は、通常のドライブなら[右クリック→プロパティ] 判る情報です。SharePoint にも調べる方法はありますがエンドユーザ向けではありません。
(2) 容量制限はサイトコレクション単位になります。
(3) ファイルはアップロードされた時点では、ライブラリまたはフォルダと同じアクセス権が適応されます。つまり「このファイルだけは厳しくアクセス制限したい」場合も、登録→アクセス権を変更までの間は、不適切なアクセス権が設定されていることになります。これはファイルサーバー互換と考えれば当然なのですが、ノーツからの移行を考えている方は要注意です。
(4) 大人数でファイルを共有する SharePoint ライブラリ場合、この機能が無ことが地味に不便です。同名ファイルで登録すると、当然ながら上書きされます。上書きを回避するオプションはあるのですが、既定値がオンになっているためあまり意味がありません。(ドラッグ&ドロップやネットワークドライブ経由の場合は警告が表示されます)
(5) SkyDrive Pro は、つまるところ企業内 DropBox なのですが、比較的「細い」ことが多い企業内ネットワークで、かつ朝一番やお昼など同時間帯に全社員の同期が開始されたら…(汗)

以降、次回に続きます

なお、宣伝になりますが、この辺りのお話は著書「Office 365 チームサイト活用ガイド SharePoint Online で情報共有!」でより詳しく解説しています。表題の通りクラウド(SharePoint Online)の解説書なのですが、同製品のため基本要素の解説内容は全く同一です。次回を待てない!という方は是非(笑)

初心者向け SharePoint を理解するための 10 のポイント 2/2
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Author

中村 和彦(シンプレッソ・コンサルティング株式会社 代表)が「ユーザ視点の SharePoint 情報」を発信します。元大手製造業 SharePoint 運用担当。現SharePoint コンサルタント。お仕事のお問い合わせはこちらまでお願いします。当ブログにおける発信内容は個人に帰属し所属組織の公式発信/見解ではありません。
Twitter : @saruhiko
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