SharePoint 2010 のサイトとサイトページとマスターぺージの関係(2)

前回から引き続き、SharePoint 2010 での「サイトページ」と「マスターぺージ」の関係についてです。SharePoint のデザインを触る方には「当然」な内容なのですが、白状すると自分がちょっと曖昧でしたので整理がてら(苦笑)

前回書いたように、ひとつのサイトにはひとつの「サイトページ」(default.aspx)が 存在します。そのレイアウトは対になる「マスターページ」で定義されています。これが基本なのですが、そのため、サイトコレクション全体で体裁を統一することが困難です。すべてのサイトに同じマスターページを適用して回らなくてはならないからです。

流石にこれはあまり実用的とは言えません。そこで、SharePointに用意されているのが「発行機能」です。

これは、サイトのページを編集/管理するにあたり、下書き機能やチェックインアウト、承認、バージョン管理、GUIからのレイアウト(段組み)変更など、より高度な機能を利用できるようになるものです。最大の利点は「ひとつのサイト内に複数のページを持つ事が出来る」ということでしょうか。逆に言えば、複数ページを利用したい場合、発行機能が必須になります。

発行機能を有効化してみます。まずサイトコレクションで「SharePoint Server 発行インフラストラクチャ」を有効化します。

その後、サイトコレクションのトップレベル(一番上位の)サイトで、「SharePoint Server 発行機能」を有効化します。

すると、利用できるWebパーツを含め、SharePointの機能がエンタープライズ用途に拡張されるのですが、サイトの設定画面を見ると、「外観」セクションもメニューが増えています。

「マスターページ」をクリックすると、このような設定画面が表示されます。

このサイトおよびこのサイトを継承するすべてのサイトで使用するマスターページを指定する」という文言から見当つくかもしれませんが、トップレベルサイトで発行機能を有効化した時点で、それ以降、新しく作成されたサイトは、このトップレレベルサイトのマスターページ(ここでは v4.master)が適用されます。それぞれのサイト内には v4.master が存在しますが、無視されます。

既存のサイトについても「すべてのサブサイトをリセットして、このサイトマスターページの設定を継承する」にチェックを入れて保存すると、自動的に変更してくれます。

また、発行機能を有効化すると、自動的に「サイトのページ」というライブラリが /SitePages/ の URL で作成されます。アクセスすると突然、見覚えのないページ( /SitePages/Home.aspx )が表示されるので驚きますが、これはこのライブラリに既定で存在する aspx ファイルが開いているだけです。

リボンの[ページ|すべてのページを表示]で通常のビューに遷移できます。

このライブラリは「ページライブラリ」という WIKI に似た特殊ライブラリです。この中に作成されたページは、前述のように高度な編集機能を利用する事が出来ます。

もちろん、ライブラリにページを作成しただけでは、サイトにアクセスしてきたユーザーには従来とおり /default.aspx が表示されます。そこで[サイトの設定]→[外観|ウェルカムページ]に新しいページの URL を指定すると、以後、サイトへのアクセスが自動転送されるようになります。

例:http://contoso.com/ →(転送)
→http://contoso.com/SitePages/Home.aspx

以上が、簡単ですがマスターページとサイトページの関係になります。ポイントは標準では「いちサイト、いちページ、いちマスターページ」であるところ、トップレベルで発行機能が有効化されることで「いちサイト、複数ページ、共通マスターページ」という関係性に変化する、という点です。

通常、トップレベルは発行サイトテンプレート(標準で発行機能が有効)で作成することが多いために、このあたりがちょっと判り難くなっているんですね。

なお、SharePoint 2013 でもこのあたりの基本は変わらない筈なのですが、デザイン周りはかなり変更(改良、機能追加)されているため、また別途解説したいと思います。私自身も調べないとちょっと自身が無いのです(苦笑)


Author

中村 和彦(シンプレッソ・コンサルティング株式会社 代表)が「ユーザ視点の SharePoint 情報」を発信します。元大手製造業 SharePoint 運用担当。現SharePoint コンサルタント。お仕事のお問い合わせはこちらまでお願いします。当ブログにおける発信内容は個人に帰属し所属組織の公式発信/見解ではありません。
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