企業ユースにおけるMicrosoftサポートの感想・評価

この手の情報はWebではあまり見かけない気がします。まあ確かに書きにくいですからね。しかし、どのようなシステムであれ、運用に「メーカーサポート」は極めて重要な要素である訳です。実際のところどうなのか?私自身の個人的な経験から少しツッコンで見ます。

通常のOffice製品とは異なり、SharePointやExchangeのようなエンタープライズ製品は、必然的により「手厚い」サポートが必要になります。

通常は「プロフェッショナルサポート」が対応しますが、一定規模以上の企業ですと、Microsoftからは「MCS」または「プレミアサポート」を紹介されると思います。

プロフェッショナルサポート
プレミアムサポート
MCS(コンサルティングサービス)

さて、皆さんが興味をお持ちなのは、実際にこのサポート契約が、契約金額に見あうだけのバリューがあるか?ではないでしょうか。(ちなみに具体的金額については言及しませんので、営業さんにご確認ください)

あくまで私のごく個人的な経験の範疇で、になりますが、ある程度の企業規模が在る程度ある場合─そうですね、ひとつの目安として500ユーザ以上の企業ならMCS、2000人以上ならMCS+プレミアムサポート(以下プレミア)を契約しておくことをお勧めします。

MCSは名前の通り「コンサルティング」です。導入時の環境設計とか、導入後の運用策提案とかが得意領域です。ただ、障害原因の追求や仕様確認など、オンデマンド的な問合せにも対応してくれます。

ポイントは、MCSの費用は発生ベースだということです。利用しなければ支払いは発生しません。

しかし、Microsoftの組織上、MCSの領域は「情報提供」「既存事例の調査」までで、技術的な意味でのディープな仕様確認はできません。あるいは出来ても非常に時間(=費用)がかかります。それを担うのがプレミアサポートです。

プレミアは、一般的に「サポート」と言われるもの全般を担当します。一社に専任担当(TAM)がつき、バックエンドにいる技術者のリソースを活用して、あらゆる問題に対処します。

また、サポートだけでなく、環境分析や教育サービスなど、+αも提供してくれます。その中にはMicrosoftに対して現製品の使用改善要求をだす権利も含まれていますが…まあ、これについては、なにせワールドワイドの巨大企業ですので、よほどの大ユーザでないかぎり、正直期待できません。

実際にプレミアが真価を発揮するのは障害発生時です。サービスが停止した!原因不明!こんな場合、プレミアは通常の「サポート」の枠を越えて、いわゆる「火消し」に尽力してくれます。プレミアの技術者さんと一緒に徹夜した経験のあるSharePoint担当者は少なくないと思います(苦笑)

ただし、プレミアは年間工数での契約になるためイニシャル費用が大きいことがが悩みのタネです。契約工数に「最低値」があり、それが案外大きい。専任担当をつける以上止むを得ないところですが。

また、期間内に利用しなかった工数は戻らないので「使わないと損」な構図です。しかし、そもそも障害はいつ発生するか判らないので、計画的に消費しようとしても無理があります。

一応、年末が近くなるとTAMが残工数で受講できるセミナーやサービスを提案してくれます。年末工事ですね(苦笑)

ただ、ひとつ言えることは、MCSもプレミアも担当者のレベルは極めて高いです。もちろん個々で得意分野の違いあると思いますが、平均値がとにかく高い。そういう意味では「価格に見合った品質」のサポートが期待できます。

ただし、一方で彼らも決して「万能ではない」ことを理解しておく必要があります。五里霧中の状態から、魔法のように障害原因を特定してくれたケースもあれば、迷宮入りして結局ギブアップとなる場合もあり(もちろん「ギブアップ!」とは言いませんが、実質的に)。

たとえ後者(未解決)の場合でも、調査に要した工数はきっちり請求(消費)されます。特に障害対応の場合、TAMの後ろで複数のエンジニアがアサインされて動くため、ガンガン減ります。「何処まで突っ込むか?」はユーザ企業側の判断です。

このベストエフォート式契約には、個人的に少なからず不満なのですが…現状、これしかありませんので仕方ありません。問題をTAMに丸投げするのではなく、調査の進展状況と先の見込みを常に把握し、「どこで調査を打ち切るか」つまり最低限の「着地点」を考えながらTAMと連携するのがお互いにベストです。

これはMCSとのお付き合いでも同様で、調査依頼事項は、それぞの優先度、背景、そしていつまでにどのレベルの回答が欲しいのかを明確にしておくことが重要です。

なお、プレミアサポート契約では、もしその障害がMicrosoft製品の問題(バグ)に起因するものであった場合、調査に要した工数(費用)は無料になります。ただし「仕様」は駄目です。またバグの場合でも、エンジニア工数は無料扱いですが、TAM稼動分はきっちり請求されます。TAMの性質上、仕方ない気もしますが、やはり顧客側にしてみればこれは納得し難いとろではないかと。

さて、まとめです。私個人としては、MCS/プレミアサポートを非常に高く評価しています。ただし単価も高いため、ユーザ企業側でそのサービスを「上手く活用する」必要があります。

正直、日々の「ちょっとした疑問」「こんなことできないものかな?」とういうアイデアを相談するのは躊躇われます。こうした部分をカバーしてくれるサブ的なサポートがあれば良いのですが・・・Office製品であればともかく、SharePointではニッチすぎて難しいかもしれません。

まあ、実際のところ、その部分を弊社が補完できればと考えています。SharePointについて、「ちょっと聞きたい」「相談したい」、そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ弊社までお問い合わせください

以上、最後宣伝でしたすいません(笑)

シンプレッソ・コンサルティング株式会社

※このエントリは2010/05/23に投稿したものを再編集しました。


Author

中村 和彦(シンプレッソ・コンサルティング株式会社 代表)が「ユーザ視点の SharePoint 情報」を発信します。元大手製造業 SharePoint 運用担当。現SharePoint コンサルタント。お仕事のお問い合わせはこちらまでお願いします。当ブログにおける発信内容は個人に帰属し所属組織の公式発信/見解ではありません。
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