(紹介)SharePoint Server2007について思うこと

sanonosa システム管理コラム集 というブログに、「SharePoint Server2007について思うこと」というエントリが投稿されているのですが、これが実に SharePoint2007 の特徴(とくに弱点)を良くまとめられていると思ったので、ご紹介したいと思います。

SharePoint Server2007について思うこと

要点:
1.SharePoint 2007 は 社内WEBサイト構築・情報共有ツール。例えるなら GoogleSites。
2.意外に難解で、全体像を把握しにくい。
3.バグが多い。
4.Microsoft 製品との相性が良い。逆に無いと使えない機能が多い。
5.ユーザ的にはそれなりに使える。しかしシステム管理者には優しくないソリューション。

いやまったくおっしゃる通りです。む~。

SharePoint ユーザである私がこんなことを言うのはどうかと思いますが。
ぶっちゃけ、SharePoint は Microsoft が言うほど素晴らしいツールではありません(苦笑)

製品スペックを見ると、確かに色々な機能があり、多くの事が出来そうです。
しかしこの「出来そう」というのが曲者で・・・。

沢山の機能も、それぞれ「想定する活用方法」が狭いのです。
そして、それを少しはみ出すると、途端にハードルが高くなる傾向があります。

少なくとも、グループウェアとしての錬度は、まだまだ Lotus(今はIBM)Notes には遠く及びません。残念なことに。
※サイボウズは触ったことが無いのでわかりません
※私が知っているノーツは R4.6 のC/Sです。凄い古いです。

「錬度」の低さを挙げますと、たとえば─

情報共有ツールなのに「既読/未読」の判別ができません。
ファイル単位でアクセス制御が出来ますが、「ファイル登録時」に ACL を設定できません。(アップロード完了後に設定する)←その間のセキュリティはザル
また、ACL 設定時に、操作をミスると簡単に「誰もアクセスできないファイル」がつくれてしまいます。
ファイルアップロード時、自動的に一意のファイル名を設定する機能がありません。
アイテム(Notes的に言うと文書)を一時保存する機能がありません。Webソリューションなのに…(何度セッションタイムアウトで泣いたことか)
「ワークフロー」という名の機能はありますが、実際に「承認・回章」業務で使おうとすると、コーディング無しには使い物になりません。
情報の階層化(グループ化)が2段階までしか出来ません(大中小分類とかどうするの…)
ちなみにカスケード分類もできません。
アクセス解析機能はあります。しかし、ファイル単位は解析できるのに、アイテム単位が解析できません。さらに2000行を越すと強制的に残りは捨てられます。(ウチのユーザは3000over なんですが…)

・・・悲しくなってきたのでこの辺で。

あと(仕様という名の)バグがとにかく多いです。
SP を当てたらその SP が原因で機能障害をおこしたりとか。
さらに、システムログが致命的に判りにくいのも管理者泣かせです。
ログを見て、問題可決に至ることができるケースは非常にレアです。
受信メール機能に至っては、途中で失敗しても、なにもログに残りません(汗)

米国製の製品なので、重要な情報のほとんどが英語です。
日本語のドキュメントは大抵、機械訳なので意味不明。原文を読んだほうがいくぶんマシです。
SharePoint の管理をするようになってから、英語力が向上した気がします(苦笑)

Office クライアントとの連携ができますが、基本的に Office 2007 であることが大前提です。
Office 2003 ではいろいろな機能が利用できません。
それどころかバグったりします。

Maicrosoft が事例などで盛んに宣伝している Web帳票やエクセル連携、ユニファイドコミュニケーション機能などを利用するためには、高額な Enterprize 契約を結ぶ必要があります。
通常の CAL では利用できない!という罠。

じゃあ SharePoint の何が良いの?(っていうかお前なんで使ってるの?)と言われそうですが。
本音ベースで「他社グループウェア製品に対する SharePoint の利点」を挙げますと、

1. ActiveDirectory と標準で連動する
世の中の殆どの OS が Windows 。認証基盤として AD を採用している企業は多いと思います。
SharePoint は AD からユーザ情報を抜いてくるので、特にユーザ管理を意識する必要がありません。
ウチの会社に SharePoint が導入された理由の8割はこれです(多分)

2.「出来ること」はあっさり出来る
当前といえば当然ですが、基本機能の範囲であれば、GUIベースでガリガリ作れます。
ちょっと部門サイトを立ち上げたり、掲示板をつくったり、アンケートを作ったり、書庫を作ったり。
ものの数分の作業で完了します。
ウチでは開発はシステム部門が集中して請負っていますが、ある程度ITリテラシのある企業なら、現場社員に丸投げしても大丈夫でしょう。
この開発生産性は、評価できると思います。

・・・これくらいかな orz

ただ、一応、Microsoft の名誉の為に付け加えておきますと。
そんな SharePoint ですが、前パージョンである SharePoint2003(SPS) から SharePoint2007(MOSS)になった際の機能改善は、非常に大きいものでした。
もう別システムと言っても良いくらいです。
まあ、あれもこれもと機能を追加した結果、ぐちゃぐちゃになった、という見方も出来ますが。
もし、これと同レベルの機能改善を、次バージョンである SharePoint 2010 に期待できるのなら、SharePoint の未来はけっこう明るいかもしれません。
(頼みますよ、MSさん…)

これから SharePoint を導入してみようかな?という方は、まず小規模(特定部署かプロジェクトチームか)に導入して、使い倒してみることをお勧めします。
今なら、SharePoint Online というサービスもありますので(無料で試用できます)、これで MOSS で何ができて何ができないのか、納得できるまで把握されるのが良いでしょう。

SharePoint Online
SharePoint Online とカスタマイズ/開発


これまでのコメント

  1. リーマン より:

    AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; en-US) AppleWebKit/532.5 (KHTML, like Gecko) Chrome/4.1.249.1045 Safari/532.5
    やはり、「ActiveDirectory と標準で連動する」が
    一番の理由ですよね。
    SharePoint の導入を検討中ですが、他にいいものはないのか
    そもそも導入する必要があるのかをまず検討したいと思います笑

    情報ありがとうございました

  2. saruhiko より:

    AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; YTB720; .NET CLR 1.1.4322; .NET CLR 2.0.50727; InfoPath.2; .NET CLR 3.0.04506.30; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729; CIBA)
    運用保守をご担当ですよね?
    確実ご苦労されることになりますので、導入はご慎重に(苦笑)

    >そもそも導入する必要があるのか

    そう!この視点が一番重要です(笑)
    ただ、他に、については、どのグループウェアを見ても50歩100歩というのが正直な印象ですかね。
    私が書くのもナンですが「きちんと運用設計とEUDが管理されたノーツ」にかなうグループウェアは無い、と思っています。
    その「きちんと管理」が難しくて大抵破綻するんですけどね(汗)

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Author

中村 和彦(シンプレッソ・コンサルティング株式会社 代表)が「ユーザ視点の SharePoint 情報」を発信します。元大手製造業 SharePoint 運用担当。現SharePoint コンサルタント。お仕事のお問い合わせはこちらまでお願いします。当ブログにおける発信内容は個人に帰属し所属組織の公式発信/見解ではありません。
FB : 中村 和彦
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